マンガの保存について考える
このページは、マンガの保存や修復な ど、単行本を管理するに当たって重要なことを検討するページです。


1 単行本の劣化を引き起こす要因

・ホコリ

本の上部に溜まり紙魚やホコリ汚れを起こす。

・日光(照明)

紫外線などによる焼けを起こす。焼けた本のカバーは色が薄くなる。
照明(蛍光灯)でも多少焼けを起こす。(紫外線を大幅にカットできる蛍光灯は焼けをかなり軽減できる)

・結露

結露が起きた窓付近に本が置いてあると、発生した水により本が濡れる可能性がある。
気温の寒暖差によって、本が直接結露 することがある。特にコーティング部が結露しやすい。

・湿気

室内の湿度の上昇により、カビが発生しやすくなる。

・手垢

本を読む際に手から出る分泌物と剥がれ落ちた角質により本に汚れがつく。


2 単行本を『焼け』や『湿気』などから守ってくれる(であろう)道具


効果が確実にある道具

・木炭(乾燥剤)

本棚に入れたりして湿気やにおいを取るのに使う。
木炭を置く場合は布にくるんだり容器に入れたりする。

・空気清浄機

ホコリなどを少しでも除去するために使う。

・手袋

手袋で作業を行うことにより手の汚れなどが単行本に付かなくなる。

・ビニール

汚れなどから単行本を守る。通気性が非常に大事。
ぴっちり閉めると外部との温度差によって蒸れる。
ビニールを巻くときは、ゆったりとしたビニールでパンチ穴も空けるといい。

・棚

マンガ専用棚や書棚、大型食器棚などを使う。
棚を使うことにより整理がしやすくなる。通気性も非常にいい。
地震などの際、倒れないようにしっかりとした支えを作っておく。
ホコリは大敵なので、モップなどでの棚のメンテナンスを忘れずに。

・カーテン

陽のあたる部屋なら言わずもがなであるが、
蛍光灯の明かりだけでも多少焼けてしまうので棚などにかける。

・除湿機

除湿をし単行本にとってベストな湿度を保つ。
結露などの水分に関するトラブルは全く起きない。
ホコリなどもベトつくことなくすっきり落ちる。

・ワイパー(手持ちモップ)

棚の汚れをとるのに非常に便利。

・羽ぼうき

ホコリを押さえつけることなくとる事ができる。

・グラシン紙=パラフィン紙

焼けや汚れなどから単行本を守る。ホームセンターで1枚20円くらい。
ツルツルしている側が表側。表側を外にしてカバーに巻く人が多い。
マンガ専用(新書やB6サイズまで対応)サイズの物、1包(500枚入り)もある。
マンガ専用のものは裏表がはっきりしない、表も裏もない? 
お菓子作りに使用する物は、厚手で裏表がハッキリしている。カットして使用する。

※欠点

読みづらくなる。
カットが面倒。
お金が掛かる。
一度作業を終了してしまうと、それ以上手を触れたくなくなり結果として読む回数が減る。
お菓子用のものは厚すぎて背表紙が透けて見えにくいので、本棚に並べても味気ない。

効果があるかは実験段階の道具

・食品保存用の収納ケース

虫や雑菌が入らないように密閉性を高めてある。
雑誌サイズがスッポリ納まるような大型のものもある。
乾燥剤を一緒に中に入れておくといいかもしれない。

・OPP製透明ブックカバー

手軽に使うことが出来て付け外しも簡単。1枚あたり7〜8円で買うことが出来る。
透明で背表紙もしっかり見える。焼け対策にはUVカット仕様と明記しているものもある。

・密閉容器

焼けや汚れなどから単行本を守る。
そのままだと結露が出来やすいので乾燥剤を入れておく。
密閉しておいた物は、1年に1回は虫干しした方が良い。

・フィルムの保存などに使う袋

封筒のような形をしている。
紫外線、赤外線、エックス線が完全シャットアウト。
数十年間全く焼けのない状態が保てるはず。
すぐに取り出しも可能。

※欠点

特に大事にしたい単行本を入れておくにはすばらしい保存法かもしれない。
ただ大量には無理なことと、大版コミックの入る袋が
あるかどうかはよく分からないという問題はある。

・その他(追記予定)
アーカイバルボックス、無酸紙封筒、硫酸紙、調湿剤


3 単行本を状態良く保存するために出来る行動

・陰干し

本に溜まった湿気を抜くために行う。
風通しの良い日光の当たらない陰の場所に置いて干す。

・換気

湿気やホコリを室内に留めない為に行う。
窓やドアを開けて空気を通す。換気扇や扇風機、エアコンを回す。


4 どう保存するか

・新刊の保護

パラフィン紙などで最新刊も今からガードしておくことは、将来の投資として重要かもしれない。

※欠点

痛まずに手元に置いておける変わりに気軽に読めなくなる。
パラフィン代がかさむ。
神経質すぎる自分が嫌になってくる。
パラフィン紙をかけると表紙カラーが劣る 。

・値札はがし

乾燥してくると剥しにくくなる。
ドライヤーで値札を温めて、カッターの刃を値札の角に差し込みながら少しづつ剥す。
爪で剥がすと単行本に傷が付きやすい。
残った糊はライターオイルで綺麗にとれる場合も。
(ただしカバーに傷がある単行本やコーティングのない単行本の糊をライターオイルで
とろうとするとライターオイルが染み込む)
ある程度とってそれでも残ったら、セロテープで残った糊の上からペコペコあてると綺麗にとれる。
コーティングのない紙カバーの場合もセロテープだと綺麗にとれる。

・補修

和紙などで補修する方法がある。
割れ本の場合は一度アイロンで分解してから固形ノリ(熱でやわらかくなる)とハンダゴテで組立て直す方法も。

※欠点

補修しないとさらに壊れるかもしれないが、手を加えないことが最善かもしれない。
手を加えずに最善の方法を探す手もある。
1度手を加えたら元に戻すことは不可能である。
何十年にも渡って保存し続けることを考えると割れがある本を持っている場合、
補修するべきなのかも知れない。
その補修がその補修した時点で良い状態でも、
その後補修する前よりひどくなる状況になる可能性があるならばやらない方が良い。
素人のやる補修はどうなのか?
割れたままで保存しておくのと補修をして保存しておくのと、どちらが状態よく保存できるのか?
行い方や紙質も重要なポイント。

・カバー汚れとり

軽いホコリ汚れの場合、羽箒などで軽くはたくだけでも十分汚れは落ちる。

※欠点

ジッポ・ライターのオイルでの汚れ取りという方法もある。ただコーティングのない本や薄い本はできない。
コーティングのある本でも少しでも傷があるとその部分に液体が浸透し、しみが残ってしまうことがある。


5 災害に立ち向かう

普段からの防災がいざとなった時に役立ちます。
必ず、身の安全、家族の安全を優先してください。

・地震

災害前

日本に住んでいれば、対策は万全にしておかなければならない。
マンガ棚はしっかり固定する。
大事な単行本は地震が起きた際、持ち出せるような場所に置いておく。

災害後

まずは身の安全を。
大事な単行本だけ持ち出すようにする。

・火災

災害前

人災、天災どちらともありえる。
火がまわりそうな場所には単行本は置かない。
大事な単行本は火災が起きた際、持ち出せるような場所に置いておく。

災害後

まずは身の安全を。単行本に火が燃え移ったら諦めて非難する。
大事な単行本だけ持ち出すようにする。

・浸水

災害前

大雨による洪水などが起きた際に浸水が予想される地域に家があれば、対策は必須である。
マンガ棚を床から高い位置に設置する。
大事な単行本は浸水が起きた際、絶対に水に濡れない場所に置いておく。

災害後

まずは身の安全を。
水に浸かってしまった単行本にショックを受けている間にまだ浸かっていない単行本を非難させること。
浸水がひどければ大事な単行本だけ持ち出し非難する。

・津波

災害前

海岸線に家があれば対策は重要である。
大事な単行本は家以外の場所に避難させておくことも考えるべき。

災害後

まずは身の安全を。
警報がでたら即刻非難すること。
本当に大事な単行本だけ持ち出すようにする。


このページの作成に当たって多くの蒐集仲間の方に情報を提供頂きました ありがとうございます^^
追加情報提供 ギャラットさん






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